ビル管理をDXで改革する、という果敢なる挑戦。
-施設管理プラットフォーム開発プロジェクト

カテゴリ:安心・快適な空間の提供プロジェクトストーリー

高山和則Kazunori Takayama
事業推進部 営業/DX戦略課

芦野翔二Shoji Ashino
事業推進部 営業/DX戦略課

ビル管理をDXで改革する、という果敢なる挑戦。
-施設管理プラットフォーム開発プロジェクト

ビル設備管理という労働集約型事業には未来に向けた課題が2つあります。
ひとつは技術者不足。これは、労働人口の減少によるものと、高齢化による次世代の担い手不足も深刻な状況です。
もうひとつは従来のアナログ管理による非効率的な管理からの脱却が進まず、管理帳票など未だ手書きによる作業が沢山あり、事務作業に多く時間を割かれているのが現状です。又、デジタル化が進まない要因として技術者の高齢化も一つの要因と考えています。
こうした課題認識の中、パルコスペースシステムズではデジタルツールを導入しビル管理業務をDXでの業務改革に取り組みに着手しております。

 

施設管理プラットフォーム開発-ビル管理業務のDX推進の背景

ビル管理業務における“非効率”とは、具体的にはどんな状況なのでしょうか。
高山
例えば、現状のビル設備の点検は、設備管理スタッフが現場を回り、チェックシート(紙)に手書きで点検内容を書き込み、バインダーに綴じていました。ですから、いつどんな点検を行ったかは、バインダーのページをめくるか、ホワイトボードの予定を追うか、といった非常にアナログで非効率な形で探すしかなかったのです。
芦野
それから、ノウハウの属人化とでも言えばいいでしょうか、ベテランの設備管理スタッフたちはそれぞれ経験で培ってきたこの物件の点検における注意ポイントを持っています。ただしそれらは、例えば彼らのデスクの卓上カレンダーにメモしてあり、本人が見ない限りわからない、などという状態もあるほどです。各管理物件特有の技術情報を『見える化』そして『形式知化』することは、急務であり当社の将来のためにも必要と考えました。

 

ビル管理業務DXの構想とは

そうした状況を、どのように変えようとしておられるのでしょうか。
高山
究極の理想で言えば、ICTを用いたビル管理業務の無人化あるいは自動化です。もちろん、一足飛びには実現できませんので、現実ではできること・できそうなことを現場の理解も得ながら一つずつ技術を実戦投入しています。
芦野
管理データのデジタル化もそのうちの一つと言っていいかと思います。実は、この点については結構前から進んでいまして、漏水、地震による設備の損壊、警備面で言えば万引きの発生など、いわゆる管理物件における『事故情報』は、既にデジタルデータ化され共有が図られています。最近、データを管理するサーバの更新を行いましたが、その機会をとらえてオンプレだったサーバをクラウドに変え、DXに向け機能追加を行いました。例えば、設備の損壊データには原因の分析機能、万引きなどの警備データには発生時間帯をグラフ化できる機能、エスカレーターの巻き込み事故は場所や時間など、それぞれの業務において留意ポイントや強化ポイントがわかるような機能を追加しました。
先行きは、蓄積されたデータにAIを掛け合わせて、事故を未然に防ぐような仕組みも可能ではないかと考えています。
高山
ほかに構想されているのが、ベテラン管理スタッフに蓄積された設備管理ノウハウの見える化そして形式知化です。例えば、ベテラン管理スタッフが設備管理で巡回する際にスマートグラス(ウェアラブルカメラ)を着用してもらい、点検の際に設備のどこを見ているか、点検の作業の様子はどうか、といったことを記録し、データとして蓄積していくことも考えられています。当社の強みは、設備管理・施設警備・清掃というビルの管理・保守のすべてをワンストップで提供できるところにありますが、それらをロボティクスやセンシングなどによって自動化することも構想に入っています。

 

ビル管理DXが人に与える影響

ICTで人の働き方や役割が変わることこそ「DX」ですが、施設管理プラットフォームというDXで、働く人にはどんな影響が予想される でしょうか。
芦野
既に着手していることで言えば、人の能力や経験によって偏りがあったタスク負荷を本部が把握できるように可視化するなど、蓄積されたデータや現場でのみ利用されていたデータの『見える化』が進んでいます。
高山
投入の見通しが立った技術やツールを順次現場に投入していますが、現場からは『これでは使いづらい』というようなお叱りをいただくこともありますし、現場の皆さんには慣れているやり方へのこだわりもあります。ただ、デジタル技術で仕事やサービスをもっと良いものにしていこう、という思いは一致していますので、前向きに協力をいただけています。
DXを推進していくことで、遠隔監視による常駐のない施設管理の実現が、プロジェクトの目指す第一関門になると思います。警備室なり管理室なりがあるのが当たり前だったビルの建築も、構想が実現すればありようは変わっていくのではないかと思っています。そうなると『人』の存在は、テナント様やオーナー様との接点、提案やヒアリングなどクリエイティブな面でより重要なものになっていく、と考えています。
また、デジタル技術を若手だけでなくシニアにも楽しく取り扱えるツールとして開発を進めております。

 

 

現在、DXに長けたIT大手や、DXに積極的な建築・設計系の企業とタイアップして、施設管理業務の『完全無人管理』の実現を目指し、開発を進めております。「話を聞いてみたい」「協業したい」などご興味のある方は、ぜひお問い合わせフォームまでお待ちしております。